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神戸学院大学人文学部人間文化学科2005年特別講義I編


by shohyo

夢と欲望のコスメ戦争

夢と欲望のコスメ戦争_d0068008_18285253.jpg “美白”それは日本書紀に登場するほど歴史は古い。平安時代から今日まで、日本の女性の憧れなのである。和装から洋装へとファッションの変化が見られた大正時代には、美白は一時影が見え、夏には小麦肌が流行ったが、それもつかの間、秋口にはまた美白に励むというサイクルになっていたのだ。
 80年代になると、その小麦肌はシミ・シワを増やし、皮膚がんを引き起こす原因になると言われ、次はUVカットに注目した消費者は、化粧品メーカーにUVカットの化粧品の生産を急かすほど夢中になった。
 時代が移り変わるにつれ、何が美しいのか。という定義は変わっていったが、女性たちはみんなキレイになりたいという願望を持ち続けていた。それに比例し、化粧品に対するわがまま、貪欲さは計り知れないほど大きくなっていくが、化粧品メーカーは、消費者の要望に答えようと試行錯誤する。一見、華やかな世界のように見える化粧品メーカーだが、そんな消費者との戦い、入り組み絡みあった化粧品メーカー同士との戦い、販売戦略の面白さがここにある。
 金よりも高価な化粧水を使い、クリームはTVCMで話題性抜群のものを使う女性には、果たして、その効果は出ているのだろうか。それに対する、この本の答えは(『「美人」へのレッスン』・『美容の天才365日』講談社)を引用し、効き目や結果ではなく、その化粧品を使うことにより幸福な気持ちになることが一番。心理的作用も、効果的に肌に大きく働く。というような当たり障りのないように出されており、核心を突く答えはない。しかし、悪い商品は悪い、効果が見られる商品は良い、と美容ライターや美容ジャーナリストが情報を世間に流さなければ、消費者はどれが良い化粧品であるのかを試さなければ知りえないため、お金を大量に使い込みながら探し続け、ただの水のような化粧品を数万円で売りつけるメーカーが出たりと大変な状況が続くのではないのだろうか。と思うところもある。

文:重娯
by shohyo | 2005-06-29 18:28