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神戸学院大学人文学部人間文化学科2005年特別講義I編


by shohyo

eメールの達人になる

eメールの達人になる_d0068008_1451894.jpg この本では日本語とメールの特性を考え、著者村上龍氏が実際に送受信したメールを例にして言葉遣い等をどのようにして書くことが望ましいのかを筆者の考えを元に検証している。尚、仕事で送受信するメールに限る。
 メールについて最初に考えなければならないのはメールを書く相手が自分とどういう関係にあるかということ。仕事のやりとりには、さまざまな人間関係があるからだ。
初めてのメールでの印象は大切である。まず初めに自己紹介をする。自分の所属先を明らかにし、所属先に知名度がなければやってきた仕事を説明する。
 時候の挨拶は仕事上のeメールには向かない。
 久しぶりに連絡を取るときの挨拶で気をつけるべきなのは「お元気ですか?」などの問いで、相手はこの返事に対してレスポンスしなければならないのかと考えてしまう。
 メールは相手の表情が見えず、肉声もないため、議論や討論に向かない。
 「~してください」などの丁寧な言い回しでも、本質は「命令・指示」のため、「~していただくと助かります」といった表現を使うほうがよい。
メールの書き方の基本は正確さと簡潔さ。件名は見ただけで用件がわかるほうがよい。
 伝達・連絡は簡潔性を優先し、正確に。ただし、謝罪のメールでは簡潔性を優先すると、相手は不快に感じる。また、約束のキャンセルや遅延のお知らせはもっと繊細に書かなければ相手に同じく不快感を与える。
箇条書きは複雑な内容を整理するときに有効。ただし、順番に無頓着に箇条書きにすると逆に分かりにくくなる。尚、順番が重要な場合は数字やアルファベットを使う。また、依頼を断る場合の理由を箇条書きにするのには気をつけたほうがよい。
引用の最大のメリットは送られてきたメールのどの部分に答えているのかをはっきりさせられる点。そして、引用を使う上で重要なのはいかにわかりやすいレイアウトにするかということ。また、返信の最初の行が引用になっている文章は読みにくいため、普通は「○○様」という宛名を書く。
正確なニュアンスを伝える場合は日本語よりも英語の単語のほうがぴったりくるケースがある。日本語には様々な含みを持つ単語が数多くあるからだ。
メーリングリストを使って話し合いをするには細心の注意が必要。相手の意見に反対する場合はストレートな物言いを避ける。
この本には納得させられる部分がたくさんあった。特に日本語は使い方を一歩間違えるだけで相手を不快にしてしまうやっかいな言語だという部分に共感を覚えた。
現在の自分の状況では仕事上で使うメールというものを送受信することがないため「ほんとうにそうなのか?」と思うような箇所も見受けられた。この本が本当に役立つのは仕事でメールを使っている人たちだけだろう。

文:テイルリバー
by shohyo | 2005-06-17 14:06