神戸学院大学人文学部人間文化学科2005年特別講義I編


by shohyo

ガンダム・モデル進化論

d0068008_13374596.jpgプラモデルの歴史というものは思いのほか古い。

プラモデルの素材プラスチックは20世紀の初頭に発明され、プラモデルはイギリスで1930年代に発売された。国産プラモデルは1958年マルサン商店が原子力潜水艦ノーチラスを発売したのが初めてである。しかしこの頃のプラスチックは割れやすかったことや、木製模型愛好者が多かったことからあまり受け入れられなかった。さらにプラモデルは製作に金型を使用するため莫大な金がかかり、マルサン商店は経営危機に陥った。ここでマルサンはテレビ番組で取り上げてもらうという大胆な作戦にでた。マルサンの思惑は見事に的中し、プラモデルは生産が追いつかないほどの大ヒットとなった。
 プラモデルと言われると我々の世代はガンダムや自動車、戦車など思い浮かべるが、最初のプラモは原潜だった。プラモデルを心底愛し、並々ならぬ情熱を注ぎ込んできた筆者でないと語れない話題が満載されている。
 1960年代に入りテレビで子供向けのヒーロー番組が始まり、プラモデル業界には多くの会社が参入し大きく加速する。鉄人28号が発売され爆発的にヒット、さらにリアル思考のサンダーバードが大ヒットした。さらに現在プラモデル業界トップのバンダイが参入した。
1970年仮面ライダーやマジンガーZといったアニメが放送され、超合金という金属でできた人形が大ヒットする。これによってプラモデルは若干衰退するが、その後に放送された宇宙戦艦ヤマトや銀河鉄道999によって戦艦・鉄道モデルファンをも切り崩し、盛り返した。
 1979年豪快なアクションで戦うスーパーロボットに打って変わって登場したのが機動戦士ガンダムである。今までは主役メカばかりがプラモデル化されていたが、ガンダムでは敵のメカも非常にリアルで人気が高かった。ガンダムは300円でプラモデル化され子供にも買い求めやすかった上、ストーリー的にも大人にうけたのでファン層が大きく拡大し、爆発的に売れ模型店からガンダムのプラモデルが消えたという。
 80年代中盤に入り、ガンダムのプラモデルはさらに加速する。技術よりリアルにガンダムのプラモデルが作られるようになった上、ガンダムの続編が放送され人気は下降しなかった。それどころか以前出したガンダムを新しい技術でリニューアルするといった螺旋的な展開を見せていく。年々プラモデルが進化していき、ガンダムも続々新シリーズが登場していった。昔ガンダムに魅せられた現在の30代の大人(昔欲しくても買えなかった年代層)が簡単に買い求められるようになり、よりリアルになったガンダムを購買する人も多い。今や年間500億円以上を売り上げるガンダムプラモデル業界は25年たった今も衰えを見せていない。
模型史研究家でありエッセイストでもある筆者がプラモデルの歴史とともに、客たちの購買意識からヒットの理由まで詳細に記述し、興味を持った読者を完全に引き込んでいく圧倒的な量のデータと数々のコラムはその道を極めた者しか語れないであろう。また模型ファンには必読の1冊である。

文:F
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by shohyo | 2005-07-05 13:37