神戸学院大学人文学部人間文化学科2005年特別講義I編


by shohyo

安楽死できる国

d0068008_2241681.jpg本作品は大麻・売春・同性結婚と同じく、「安楽死」が認められる国オランダで、どのような課程を経て「死ぬ権利」=安楽死が合法化されていったのかと共に「安楽死法」制定までの国会の動きや、「安楽死制度」を支える医療・福祉システムの基盤、「安楽死」を可能にしたオランダの歴史など、世界で初の「合法安楽死」について書かれた作品です。
この作品を読んでの「安楽死」に対する意見はやはり「NO」です。オランダという国では、三種類のパスポートがあり(P15)、一つは海外旅行の出入国時に使う国籍証明のパスポート。残る二つは「安楽死パスポート」と「生命のパスポート」。「安楽死パスポート」は長時間、昏睡状態に陥った場合、意志に安楽死させて欲しいと意思表示するためのカードで、「生命のパスポート」はその逆で、昏睡状態に陥った場合、「絶対に安楽死はいや」と意思表示をするものであります。「安楽死」を求める患者の中には、絶えがたい苦痛がある、また家族に迷惑がかかる、また自分の命なのだから自分でどうしようが関係ないといった、いくつかの要因があるにせよ、自分で自分の命を終わらせるという「安楽死」は言い換えれば「自殺」ということになる。確かに誰もが痛い思いをするのはごめんだ。しかしこの広い世界で生きたくても生きられない人々がいるにもかかわらず、痛いからだとか色々な理由で命を終えるというのは、安易過ぎる考えではないだろうか?私にもいずれ死ぬ時がやってくるが、確かに死ぬのは怖い。しかし「死ぬ」ということは我々人間が生まれながらに背負う宿命であると思います。今一度「個人主義」だの「個人尊重」だの言う前に、命の尊さについて考える必要性があるように感じました。が我が日本もオランダを見習わなければならない所は幾つかあるように思います。例えばオランダではどの家庭にも地域にかかりつけ医師を持ち、家族の健康管理や病歴、常用薬を把握している。こうした地域医は一人あたり約二千~三千の患者を受け持つ。こうした日々の絶え間ない努力こそが、病気の早期発見につながる。また「安楽死の制度化にあたって社会に4つの条件が揃っていなければいけない」①「誰もが公平に高度な治療が受けられる医療・福祉制度」②腐敗が無く信頼度の高い医療」③「個人主義の徹底」④「教育の普及」(患者の医学知識だけでなく、医師と向き合ってその言葉を正しく、かつ冷静に理解する能力)と本文(P60)にある、③は関係ないが、①②④はどこの国でも求められる事ではないか?日本ではこの三つの条件が満たされているかと問われると、疑問視せざるを得ない。このような三つの条件を満たした上で、独自の「安楽死法」を生み出し、周囲の猛反発がある中でも絶対に変えようとはせず、先にも上げた大麻や同性結婚の合法化は全て、他人の自由を可能な限り認めるオランダ流の社会管理であり、この社会こそ、国民のプライドであり、国民の絆の証であると共に、この国の人々のあり方なのだと思い、「安楽死」に関してはいまだ「NO」だが、国としてオランダを見ると国民一人一人で成り立っている国のように感じ、非常に素晴らしい国だと思いました。     

文:きなこ
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by shohyo | 2005-07-03 02:24