神戸学院大学人文学部人間文化学科2005年特別講義I編


by shohyo

世話をやく女と束縛する男

d0068008_218735.jpg男が女を束縛し、女が男の世話をやく。これこそが愛情だと思い込む男と女。ところがこの「束縛」と「世話やき」も相手にとっては「やさしい暴力」である。
恋愛をして不幸な関係に陥る理由を依存症の観点から解明し、健全な男女のあり方を提示しているのである。
テーマは「恋愛依存症」である。これは、互いに傷つけあうことがわかっていながらも、離れる事ができなくなる状態を繰り返す恋愛関係である。「恋愛依存症」に陥る人々の症例を数多く取り上げ、紹介している。そして最後に、そうならないための解決方法を示している。
恋愛依存症に陥る人々は、親から長く支配を受けてきた子供が多い。思春期になるとできるだけ親から逃れたいと思うようになり、自立欲求が高まる。だが、強い支配を受けてきたので親に対して依存的になり、親の元を離れる事が恐ろしくなる。子供は家族に対して自立欲求と依存欲求という全く正反対の気持ちを抱くようになる。このように父と母による支配を受け、心を傷つけた子供がいるような家庭を「機能不全家族」と呼ぶ。このような子供が結婚する時には、自分と同じように心に傷を持つ異性を選択する。二人は共依存状態に陥り、支配、衝突、冷却を繰り返す。
一概にそうとは言えないが、こうして恋愛依存症に陥っていく例がある。
恋愛依存症に陥った場合、二つの視点からの対処が必要である。一つは異性との交際を具体的にどのようにするかということと、もうひとつは「機能不全家族」の中で成育し、傷をおった心をどのように回復させるかということである。心の傷を癒すことが恋愛依存症からの脱出には欠かせないのである。
健康な恋愛は、パートナーに対しては人格を認め、人間性を尊重し、生き方を丸ごと受け入れられるような関係が望ましい。パートナーはあくまで自分とは別人格であることを忘れてはいけない。別人格であるが、互いに信頼を寄せ合い、生活の一部を共に過ごし、ゆるやかな感情の交流をはかれることが素敵な関係であると著者は述べている。
当書は、恋愛依存症に陥ったことにより健康な恋愛ができなくなった人々を助け、親子、上司・部下、同僚、友人等、全ての人間関係の「支配・被支配」構造の解消にもつながる問題提起の書である。
この書によって実際に救われた人々がいると考えると、大変心強い書であり、読者を明るい未来の恋愛へと導いてくれるので良い。

文:まゆみ
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by shohyo | 2005-07-03 02:19