神戸学院大学人文学部人間文化学科2005年特別講義I編


by shohyo

日本文明の77の鍵

d0068008_22518.jpg もともと、外国人に日本のことを理解してもらうために書かれたこの書は、環境、言語、宗教、芸術、メディア、科学技術などから77のキーワードを選び、日本をとらえている。ここでは、いくつかのキーワードを取り上げ、簡単に紹介したい。
 世界の中でも日本にしかない四季は、日本人を自然の変化に敏感で感性豊かな民族にした。存知の通り、俳句や生け花、茶の湯が季節感を最も重要なテーマのひとつにしているのがその例だ。
冬季はシベリア気団が日本の天気を支配し、意外なことに日本は、世界で最も積雪量が多い国のひとつなのである。また夏季は、太平洋高気圧の影響が大きく、日本列島には、大量の熱と水蒸気が持ち込まれる。春と秋は、一般的に温暖で、古来から最もすごしやすいと好まれた季節である。
現在、日本の食料品のほとんどが輸入にたよる中、唯一自給できる米は、縄文時代前期から移入されていた。米は、必要な栄養素をほぼ補うことができる優秀な食品である。そのため、米に味噌汁と、魚か野菜を副食にそえるという、日本人の基本的な食事形態ができあがった。米と魚の組み合わせによる低カロリー、低コレステロールの日本食は、肥満や種々の成人病を防ぐ、より健康的な食事として欧米諸国のモデルとなっている。
 神道は日本固有の宗教である。しかし、『あなたはどんな宗教を信じていますか?』という質問に、神道と答えた人は、わずか3.4パーセント。ところが、新年の初詣にでかける人は全国の神社仏閣で8800万人にも達する。また、春と秋には多くの地域で大きな祭りが行われるし、日常生活では自動車にお守りをつけたり、家に神棚があったりする。そう考えると日本人と神道は密接な関係にあることがわかる。
 交通の発達と人々の頻繁な移動は、江戸時代以前から日本社会の大きな特徴のひとつになっていた。その人々の移動が、江戸幕府の成立によって大きく整理された。幕府は熱心に街道の整備につとめ、江戸を起点とする五つの街道を重視した。五つの街道のうち最も重要視されたのが、江戸と京都を太平洋岸沿いに結んだ東海道であった。また、東海道の延長には山陽道が続き、上方から九州を結んでいた。そして今日、東海道とほぼ同じコースを国道1号線、東海道新幹線が通っている。また、かつての山陽道に沿って、国道二号線と山陽新幹線が通っている。よって江戸時代に基本とされたこの道筋は、現代の日本においても、最も重要な文明軸をなしていることがわかる。
 以上のようにここでは4つのキーワードしか取り上げることができなかったが、全体を通して読むと、日本人として知っていて当然なことから、意外なこと、またよく理解できないものなどがあった。
現代の日本人、若者は特に日本のことを理解している人が少ないのではないか。この書はもともと外国人向けに書かれたものであるが、むしろ私は、そんな日本人に読んでもらいたいと思う。                       

文:ヒロシ
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by shohyo | 2005-07-03 02:03