神戸学院大学人文学部人間文化学科2005年特別講義I編


by shohyo

生きていくことの意味

d0068008_13462881.jpgこの本はトランスパーソナル心理学の立場から「生きる意味と希望とを見失わず、前向きに生きていくためのヒント」を教えてくれる。トランスパーソナル心理学とは「個人としての〝自分〟や〝自分のしあわせ〟への執着・とらわれを脱して、〝個を超えたつながり〟を生きよ」という心理学である。私たちが悩みや問題を抱えた際、少しでも役に立つようにと作られた一冊である。
この本で著者が最も言いたかったことは「この人生のすべての出来事には意味がある。人生のプロセスは私たちが気づく必要のある大切な〝メッセージ〟を運んできてくれている」ということだ。著者は具体例を挙げながら、このことを読者に訴えかけてくる。その中で「〝うちなる自分〟の声に耳を傾ける」という方法がある。「自分の中の醜い部分やダメな部分、悪の部分、どんな部分も自分の大切な一部として認め、受け入れていく」と、そのような感情は「自分でコントロール可能なくらいの大きさになっていく」という考えである。確かに誰かに認められると嬉しくなる。それと同じように、せめて自分だけでもその存在を認めてあげる。すると完全には消えなくとも、その気持ちを落ち着かせることはできるのではないか。この方法は簡単に試すことができるため、お勧めである。
この他にも「宇宙に人間が生まれたことの意味」として「宇宙の自己進化のプロセスの中でその一部として人類が生み出された」という考えも書かれている。だが私はこの部分には共感できない。著者は人間が宇宙に生まれてきたのは宇宙のためで、人間は宇宙が進化していくために生きていかなければならないと言っている。「〝生命〟」が誕生し、人間が生まれ、そしてその人間には「〝心〟」が生み出された。それは著者が言うように「〝単なる偶然〟の仕業」ではないかもしれない。だが、宇宙のために人間は生きているとは思わない。生きる意味とは人間が勝手に都合よく作っているのではないだろうか。また、著者は「自分のいのちを自分で捨てる」ことは「まさに〝宇宙の意思に背いた行為〟」と言い切っている。確かに自殺は良くないことだが、そこまで言われる筋合は無いのではないだろうか。
この本に書かれていることは、あくまでもヒントである。この本を読んだからといって、すぐに問題が解決するというわけではない。また、一度読めば十分だと思わせるほど具体例が多く、読むだけで疲れてしまった。もし、この本を読みたいと思う方は、購入するのではなく図書館で借りることをお勧めする。

文:オレンジ
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by shohyo | 2005-07-02 13:46