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神戸学院大学人文学部人間文化学科2005年特別講義I編


by shohyo

頭がいい人、悪い人の話し方

頭がいい人、悪い人の話し方_d0068008_13302439.jpg「少し話をしただけで、相手の知的レベルがわかることがある。」
全くその通りである。普段交わされる多くの日常会話の中で、特別に注意していなくても感じられる知性で、我々は相手を判断している。
この本は40の項目を「部下に嫌われる話し方」「異性から嫌われる話し方」「人望の得られない話し方」「周りから笑われてしまう話し方」の4章に分けている。その中で取り上げられている項目のなかには思わずドキリとさせられたり、また知り合いのあの人の顔が思わず浮かんでくるようなものもある。この筆者は本来文章指導のプロであるのにもかかわらず、話し方についてここまで書けるのは驚きである。
またこの本は、挙げた例に対する対処法や、自覚するためのポイントなども併記されていて、このような話し方は悪い、で終わっていないところも秀逸である。
筆者があとがきで「本書に示した話し方のほとんどにモデルがいる。」と書いてあるように、その内容の多くは共感できるものであった。しかし、「差別意識を口に出す」という項目だけは納得できなかった。この項目の中で筆者は「差別というのは、ある種の人たちを「特別な人たち」「自分とは違う人たち」とみなすことなのだ。」と言い、「差別するのは愚かだ」と言っている。無論、差別意識を口に出すのは止めたほうがいい。しかし、現実にはこの世界は差別で成り立っている、といってもいい。どんな些細なことでも差別のネタになってしまう世の中で、筆者のその言葉はきれいごとの理想論であろう。
また、「その場その場でしか反応しない」という項目で、短絡的感想を口に出すのはいかに愚かしいかをとうとうと語っている。しかし、そういう人がこのような本をじっくり読み込むことはあまりないのではなかろうか。そして、この手の人に対する周囲の人の対策として、その短絡的感想理由を常に求めよ、と書いてある。しかし、そのようなことをしても、「うざい」と思われるだけだし、改善されることなくだんだんその人から離れていき、同じような人同士で集まって短絡的感想を撒き散らすだけだろう。

文:なし
by shohyo | 2005-07-02 13:30