神戸学院大学人文学部人間文化学科2005年特別講義I編


by shohyo

読書力

d0068008_17174078.jpg読書は、相撲で言えば“四股”である。相撲を取るための素地をつくる最良の方法が四股である。同じように、思考活動における素地をつくるためには読書が最良なのだ。
 「しかし、最近の大学生の多くには読書習慣がなく、読書習慣があったとしてもただの『読書好き』であって、読書力があるといえる人はほとんどいない」と著者は言っている。
 では、読書力とは一体何か?というと、「読書力の目安として、“文庫百冊、新書五十冊”を読んだ」ことを基準にしている。しかし、ただ単に本を百五十冊読めば良いというわけではなく、その読む本へも「ここでいう文庫本とは、推理小説や完全な娯楽本を除いたものである。」という一定の基準を著者は設けている。小学生でも読めるような、楽しいだけの本ではなく、ある程度の「精神の緊張を伴う読書」を重ねることによって、読書力はつくのである。
 ただ読書力をつけたからといってメリットがなければ、なかなか読書力をつけようとは思わないだろう。では、メリットは何かというと、まず「自分の世界観や価値観を形成し、自分自身の世界をつくる最良の方法」であるということ。本を読むことによって、たくさんの知識を身につけることもできる。幅広い読書の経験があれば、それだけ幅広い分野の知識を身につけられる。他にも、読書で様々な人の追体験することによって、自分に降りかかった不幸な出来事や、辛い出来事にどう対処すればいいのかを、ある程度しっておくことが可能になる。そして読書は一人で行う。それによって自分と向き合うこともでき、自己を培うことにつながる。
 次に、「コミュニケーション力をつけることができる」ということ。会話の要点はどこにあるのか、その要点を自分の角度でどう切り返すかを学ぶことができる。会話とは目に見えないので、その中から話の要点を見つけるのは難しい。しかし、本は会話や話を目で見ることできるのでそこから要点を見つけやすいので、読書は要約力をつける練習に最適である。また、本で出てきた文を引用することによって、会話表現が豊かになる。
 そのほかにも、本の要点を的確につかむ方法や、読んだ本について話す「読書会」を上手に行うコツなど、本を読むだけでなく本を読むことを楽しむ方法を知ることができ「本を読みたい。本を読もう。」という気を起こさせてくれる。
 どのような本を読めばいいのかを、著者の視点である程度軽いものから内容の難しいものまで、広いジャンルで紹介してあるのもうれしい。
 本をよく読む人が、さらに自分の読書力を上げる方法を知るために読むのも良いし、私は本を読む習慣のない人が、本を読む習慣をつける第一歩として是非読んで欲しい一冊である。

文:みなつき
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by shohyo | 2005-06-29 17:20