神戸学院大学人文学部人間文化学科2005年特別講義I編


by shohyo

韓国言語風景-揺らぐ文化・変わる社会- 

d0068008_1716307.jpg韓国と日本は距離からするととても近い国である。しかし文化や言語は全く違う。
著者の渡辺吉鎔は1944年ソウル市に生まれ、1964年に梨花女子大学1年修了後、慶應義塾大学文学部に留学・卒業後、カリフォルニア大学大学院で修士課程を修了の後、慶應義塾大学文学部教授に着任、以来日本で現在まで大学教授、NHKのハングル講座の講師など、様々に活躍している。
韓国で生まれ育ち、日本の大学で学び、以降日本に住み大学やメディアなどで韓国と日本の交流や文化の紹介をしている。
この本は、韓国語というフィルターを通して見えてくる、新しい韓国の姿、多様化する人々の価値観や韓国社会の方向性が書かれている。
全部で六つの章からなり、第一章は日本と韓国の文化の類似点と相違点を、言葉の類似や違いで紹介している。色の名前や曜日などでわかりやすく解説され、本の内容に入り込みやすくなっている。
第二章以降は変わってゆく現代の韓国社会を言葉の面から紹介している。
しかし二章から五章にかけて読み進めると、現在の韓国社会だけでなく韓国語がどのように社会と変化し、現在の韓国を構成していったかを読み解く事が出来る。
経済の成長、女性の職場進出、コンピューターの普及による外来語の増加、それらにより儒教の影響を受けて成り立っていた社会がどのように混乱し、そして変化して今に到るのかをハングルと一緒に学べるのである。
最後に、ハングルは他の語学とは比較にならないほど短期間で高水準に到達する事が出来る、と著者は述べる。だがしかし、言語を覚えるだけではその国の文化、歴史的背景は理解する事が出来ない、「文化に対する感性はテレビのようにわかりやすいものではなく、簡単に身に付く物ではない。」と述べる。
言語を習得するだけでなく、その国の文化、社会を理解して初めて言語も理解を深められるのである。その国の言語は、その国の文化、社会の一部である、と言う事が非常にわかりやすく書き出されていて、非常に読んで理解しやすく、韓国言語、文化に興味を惹かれる内容となっている。

文:黒鉛
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by shohyo | 2005-06-29 17:16