神戸学院大学人文学部人間文化学科2005年特別講義I編


by shohyo

スポーツマンガの身体

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誰もがかつて一度は青春時代に読んだことがあるだろう、スポーツマンガ。その主人公や登場人物のかっこよさや華やかさにあこがれを抱いた人も少なくはないだろう。
 この本では、幅広い年代のスポーツマンガをとりあげ、そのマンガの登場人物の身体について多くの面から分析している。とりあげられているマンガは全部で7つ。巨人の星、あしたのジョー、スラムダンク、バガボンド、バタアシ金魚、奈緒子、ピンポンである。筆者はそれぞれのマンガの身体論について書いている。筆者のいう「身体論」とは「身体感覚を中心にして様々な現象を捉える」というものだ。上であげた7つのスポーツマンガの身体感覚を中心に分析しその作品の良さが書かれている。
 どのように、筆者の身体論が書かれているのか。上の7つのうちの一つ、「スラムダンク」を例に上げる。「スラムダンク」は、この世代の小中高生なら男女問わずほとんどの人が読んだことがあるというくらい人気があるマンガだ。
 筆者は、他のスポーツマンガのようにいきなり超人的な技を身に付けてしまうのではなく、主人公が基礎練習をしていることや、初めて試合に出たときの主人公の視野の狭さ、主人公が身に付けた型の効用、反復練習の後の技化(わざか)などの点について分析し述べている。また、主人公以外の登場人物に魅力があることや、チームプレーには欠かせない信頼や友情の点などについても分析しつつ、「スラムダンク」の気持ちよさ、爽快さについても述べている。
 このように、ほかのマンガについても、具体的な身体表現に注目して、その作品の素晴らしさが書かれており、それぞれの作品が持つ特徴もよく捉えられている。また、その作品を読んだことがある人が、思わず「そうそう!この場面!」と言ってしまいそうになるような、その作品の外せない大切なシーンについても分析して書かれている。
 作品そのものを読むのはもちろん楽しいが、この本を読めば、一度読んだ作品をもっと深く読み返すことができ、また違った角度から楽しむことができるのではないだろうか。
 
文:T.N
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by shohyo | 2005-06-23 14:05