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神戸学院大学人文学部人間文化学科2005年特別講義I編


by shohyo

新しい日本語の予習法

新しい日本語の予習法_d0068008_13424195.jpg日本人にとっても日本語の学習は必要だ。日本人は日常、生活していく上で、日本語を身に付けてきた。日本人が日本語で困るということはそうそう無いことかもしれない。時と場合、話す人によって何気なく、なんとなく、ことばの使い分けをしている。そのことばは適切に出来ているだろうか。この本では敬語表現から最近の若者ことば、また相手に失礼の無いような対応の仕方などが例を挙げて書かれている。この本はタイトル通り、新しい日本語の予習法にもつながる。かもしれない。
本の中の例でタクシーに乗った外国人が「二つ目の信号を左に曲がってください」というつもりで「二つの目の信号を左に曲げてください」と言ってタクシー運転手に「そんなに力持ちじゃありません」という笑い話が挙げられている。また著者の知り合いの先生がある国の女生徒が「先生に教わって光栄です」と言うべきところを「先生におそわれて光栄です」と言われて大変あわてたそうだ。何がおかしいかは一目瞭然だが、どこがどうおかしいのか理由を説明しなさいと言われたら出来るだろうか。前者は自動詞と他動詞の取り違えの間違いで、後者は活用形の問題である。それで解決である。普段、自動詞だとか活用形だとか意識して話すことはない。こんな小難しいようなことを自然と使い分けしているのだ。
本の中ではら抜きことばについても取り上げられている。「食べられる」というとこを「食べれる」とよく言ったりする。あと「見れる」や「来れる」などもある。今、パソコンで打っていても、ら抜きことばには指摘が入る。著者は「ら抜きことばでも構わない。ことばが乱れているのではなく時代によって変化していると考えるほうがいいのではなかろうか」と述べている。ら抜きことばは大正時代から現れていて、なにも今に始まったことではない。
最近の若者ことばについては「ことばの乱れ」とか「日本語を破壊するもの」など批判的な意見が多いが、著者はそのようなことばに対して「一方的にダメなものとして見るのではなくことばの面白さを表すもの考えることが出来る」と肯定的な意見である。この意見には賛成である。時代によってことばを変化していっても良いと思う。「マジ」とか「チョ~」などのことばが多く使われるということは、そのことばが使われる需要があるということ。今までにあったことばではどうしてもニュアンスが違うのだろう。ただ、そのことばを使う時と場所はわきまえないといけない。堅いことばだけが使われる世の中は肩がこって疲れてしまうと思う。友達からプレゼントをもらうときに「つまらないものですが」と言われたら気持ち悪いだろう。「時代によって新しいことばなり、今まであったことばが変化したものなりが生まれてくれば日本語も豊かになる」と著者は考えている。
著者は若者ことばについて寛容で、文体を見る限り、穏やかな人という印象で、とてもユーモアがあって面白い。性格が優しすぎるのではないかと思うぐらいだ。それだけに厳しい意見が伺えない。偉ぶったとこが文章がないだけに、共感を覚えて、著者の意見を何でも受け入れたくなるが自分の中で咀嚼すること必要だ。普段何気なく使っていることば。若者ことば、ら抜きことばに耳を傾けてみれば違和感を覚えたり、新たな発見があったりするだろう。ことばは学べば学ぶほど面白くなる。      

 文:匿名希望
# by shohyo | 2005-07-05 13:43

ガンダム・モデル進化論

ガンダム・モデル進化論_d0068008_13374596.jpgプラモデルの歴史というものは思いのほか古い。

プラモデルの素材プラスチックは20世紀の初頭に発明され、プラモデルはイギリスで1930年代に発売された。国産プラモデルは1958年マルサン商店が原子力潜水艦ノーチラスを発売したのが初めてである。しかしこの頃のプラスチックは割れやすかったことや、木製模型愛好者が多かったことからあまり受け入れられなかった。さらにプラモデルは製作に金型を使用するため莫大な金がかかり、マルサン商店は経営危機に陥った。ここでマルサンはテレビ番組で取り上げてもらうという大胆な作戦にでた。マルサンの思惑は見事に的中し、プラモデルは生産が追いつかないほどの大ヒットとなった。
 プラモデルと言われると我々の世代はガンダムや自動車、戦車など思い浮かべるが、最初のプラモは原潜だった。プラモデルを心底愛し、並々ならぬ情熱を注ぎ込んできた筆者でないと語れない話題が満載されている。
 1960年代に入りテレビで子供向けのヒーロー番組が始まり、プラモデル業界には多くの会社が参入し大きく加速する。鉄人28号が発売され爆発的にヒット、さらにリアル思考のサンダーバードが大ヒットした。さらに現在プラモデル業界トップのバンダイが参入した。
1970年仮面ライダーやマジンガーZといったアニメが放送され、超合金という金属でできた人形が大ヒットする。これによってプラモデルは若干衰退するが、その後に放送された宇宙戦艦ヤマトや銀河鉄道999によって戦艦・鉄道モデルファンをも切り崩し、盛り返した。
 1979年豪快なアクションで戦うスーパーロボットに打って変わって登場したのが機動戦士ガンダムである。今までは主役メカばかりがプラモデル化されていたが、ガンダムでは敵のメカも非常にリアルで人気が高かった。ガンダムは300円でプラモデル化され子供にも買い求めやすかった上、ストーリー的にも大人にうけたのでファン層が大きく拡大し、爆発的に売れ模型店からガンダムのプラモデルが消えたという。
 80年代中盤に入り、ガンダムのプラモデルはさらに加速する。技術よりリアルにガンダムのプラモデルが作られるようになった上、ガンダムの続編が放送され人気は下降しなかった。それどころか以前出したガンダムを新しい技術でリニューアルするといった螺旋的な展開を見せていく。年々プラモデルが進化していき、ガンダムも続々新シリーズが登場していった。昔ガンダムに魅せられた現在の30代の大人(昔欲しくても買えなかった年代層)が簡単に買い求められるようになり、よりリアルになったガンダムを購買する人も多い。今や年間500億円以上を売り上げるガンダムプラモデル業界は25年たった今も衰えを見せていない。
模型史研究家でありエッセイストでもある筆者がプラモデルの歴史とともに、客たちの購買意識からヒットの理由まで詳細に記述し、興味を持った読者を完全に引き込んでいく圧倒的な量のデータと数々のコラムはその道を極めた者しか語れないであろう。また模型ファンには必読の1冊である。

文:F
# by shohyo | 2005-07-05 13:37

フリーメイソン

フリーメイソン_d0068008_13351153.jpgヨーロッパに昔からある秘密結社フリーメイソン。歴史を彩る著名人の仲にもフリーメイソンに入っていた人は少なくない。かの有名な叙事詩「ファウスト」を書いたゲーテ。今でもなお人気のある天才作曲家モーツァルト。そのほかにもたくさんフリーメイソンに所属していた著名人がいるのだが、その活動や仕組み、起源などはあまり知られていない。本書はさまざまな資料、文献などからフリーメイソンが何であるかを考え、またフリーメイソンを題材にして西欧神秘主義について考える一冊である。
フリーメイソンとは、ヨーロッパの歴史を語る上ではなくてはならない存在であり、またヨーロッパの歴史上で暗躍した秘密結社である。われわれが高等学校で勉強していた世界史では取り上げられないものであるが、フリーメイソンがなければ今の世の中は違うものになっていたのではないだろうかと思われる。たとえば、モーツァルトがそうである。彼が作曲した有名なオペラ「魔笛」は劇中においてフリーメイソンの思想を取り込んだ作品である。だが、フリーメイソンがなく、モーツァルトが参入していなかったらこの作品は生まれていなかったかもしれない。また、アメリカ建国においても彼らは重要な役割を担っていたという。つまりフリーメイソンとは、ヨーロッパの歴史だけでなく、世界レベルでの歴史において重要な存在であり、この秘密結社がなかったら今の世の中は別のものになっていたのである。
この本の良いところはまず、多数の資料が掲載されており、目で見て楽しむことができ、かつ分かりやすくなっているところだ。そして、著者自身もフリーメイソンというものを様々なものを通して研究しているのだということが分かるようになっていている。フリーメイソン関係の作品、その思想が盛り込まれている作品などの紹介の部分には少々興味をそそられた。
だが、どうにもとっつきにくい部分もしばしばあり、フリーメイソンの文献をはじめて読むには多少つらいものがあるのではと思った。

文:なし
# by shohyo | 2005-07-05 13:35

安楽死できる国

安楽死できる国_d0068008_2241681.jpg本作品は大麻・売春・同性結婚と同じく、「安楽死」が認められる国オランダで、どのような課程を経て「死ぬ権利」=安楽死が合法化されていったのかと共に「安楽死法」制定までの国会の動きや、「安楽死制度」を支える医療・福祉システムの基盤、「安楽死」を可能にしたオランダの歴史など、世界で初の「合法安楽死」について書かれた作品です。
この作品を読んでの「安楽死」に対する意見はやはり「NO」です。オランダという国では、三種類のパスポートがあり(P15)、一つは海外旅行の出入国時に使う国籍証明のパスポート。残る二つは「安楽死パスポート」と「生命のパスポート」。「安楽死パスポート」は長時間、昏睡状態に陥った場合、意志に安楽死させて欲しいと意思表示するためのカードで、「生命のパスポート」はその逆で、昏睡状態に陥った場合、「絶対に安楽死はいや」と意思表示をするものであります。「安楽死」を求める患者の中には、絶えがたい苦痛がある、また家族に迷惑がかかる、また自分の命なのだから自分でどうしようが関係ないといった、いくつかの要因があるにせよ、自分で自分の命を終わらせるという「安楽死」は言い換えれば「自殺」ということになる。確かに誰もが痛い思いをするのはごめんだ。しかしこの広い世界で生きたくても生きられない人々がいるにもかかわらず、痛いからだとか色々な理由で命を終えるというのは、安易過ぎる考えではないだろうか?私にもいずれ死ぬ時がやってくるが、確かに死ぬのは怖い。しかし「死ぬ」ということは我々人間が生まれながらに背負う宿命であると思います。今一度「個人主義」だの「個人尊重」だの言う前に、命の尊さについて考える必要性があるように感じました。が我が日本もオランダを見習わなければならない所は幾つかあるように思います。例えばオランダではどの家庭にも地域にかかりつけ医師を持ち、家族の健康管理や病歴、常用薬を把握している。こうした地域医は一人あたり約二千~三千の患者を受け持つ。こうした日々の絶え間ない努力こそが、病気の早期発見につながる。また「安楽死の制度化にあたって社会に4つの条件が揃っていなければいけない」①「誰もが公平に高度な治療が受けられる医療・福祉制度」②腐敗が無く信頼度の高い医療」③「個人主義の徹底」④「教育の普及」(患者の医学知識だけでなく、医師と向き合ってその言葉を正しく、かつ冷静に理解する能力)と本文(P60)にある、③は関係ないが、①②④はどこの国でも求められる事ではないか?日本ではこの三つの条件が満たされているかと問われると、疑問視せざるを得ない。このような三つの条件を満たした上で、独自の「安楽死法」を生み出し、周囲の猛反発がある中でも絶対に変えようとはせず、先にも上げた大麻や同性結婚の合法化は全て、他人の自由を可能な限り認めるオランダ流の社会管理であり、この社会こそ、国民のプライドであり、国民の絆の証であると共に、この国の人々のあり方なのだと思い、「安楽死」に関してはいまだ「NO」だが、国としてオランダを見ると国民一人一人で成り立っている国のように感じ、非常に素晴らしい国だと思いました。     

文:きなこ
# by shohyo | 2005-07-03 02:24

国語力アップ400問

国語力アップ400問_d0068008_2213170.jpg 『国語力アップ400問』、その名のとおり、国語力を上昇させるための「国語常識問題」と「漢字問題」各200問をクイズ形式で書いた本である。常識問題とは、現代文(小説・詩・敬語・外来語・カタカナ語など)・古文・漢文はもちろん、ことわざ・慣用句・四字熟語、短歌に俳句・川柳、果ては落語用語まで、本当に幅広く取り上げられている。レベルも「次のことわざの( )に入ることばを選んでください。・(  )矢のごとし。1人生2 逃亡3 光陰(p.5)」といった常識として知っておいたほうがよいようなものから、「「気のおけない人」とはどんな人でしょうか。(p.29)」といった、少々誤解されやすいもの、「落語「時そば」で勘定をごまかした男は、いくらごまかしたでしょうか。(p.65)」のような深い知識を必要とするもの、そして「次の漢字の読み方を答えてください。(中略)第20問 鹿 (p.75)」のように馬鹿にしているのか!と思うような問題まで様々なので、国語力に自信がある人もない人も読めるつくりになっている。また、自分がどれくらいの国語力なのかをはかる目安として、それぞれに事前にインターネットで調査した正答率も書かれている。それを、「常識として知らなければならない範囲」の目安にするのも良いだろう。
本書は2003年に刊行され、1年間で12万部を売り上げるというベストセラーとなった。そして今もなお売れ続けている。日本語が乱れているといわれがちな現代人だが、このような本が売れているということは、「正しい日本語を知りたい・使いたい」という意識は廃れていない、ということだろうか。
とりわけ注目したいところは「NHK放送文化研究会」が監修した本である、ということだ。それを売りにしている節もある。不祥事が多く受信料の回収も憚られているNHKだが、やはり国語力に関しては他よりも殊更信頼がおけると感じるのであろうか。あるいは、この本が刊行されたのは少し前なので、今現在は売り上げが落ちているのかもしれないが。
 今日、日本語を正しく使えない、使えない人が増えている。「あの人フインキいいよねー、話も的を得てるし!でも今日悪い印象持たれてそうだから、次は汚名挽回しなくちゃ!!」こんな会話が交わされていてもおかしくない現代。上記の文章のどこがおかしいのかがわからない人は、一度読んでみるのも良いだろう。すぐに全てわかった人も、更なるレベルアップ、若しくは前述した正答率と比較して優越感に浸るために、一度解いてみるのは如何だろうか。                     
文:COHIBA
# by shohyo | 2005-07-03 02:21